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2004年12月07日
第十回 エッセイ 「BEST WEEKEND」
「ITS GOING TO BE THE BEST WEEKEND OF YOUR LIFE!:(一生の中で一番良い週末になるぞ!)」という
悪魔達の囁きに、少しでも耳を傾けた時から、
自分が地獄に片足突っ込んでたとは、この時、まだ夢にも思いませんでした。
僕がカリフォルニア州、オレンジカウンティーに住んでた13〜17歳の間、
一番仲良くしてたのは二つ年上のJOEL(ジョール)とDAVE(デイブ)です。
そんな彼等から、ある金曜日の夕方、電話がかかってきました。
「明日砂漠にキャンプに行くぞ!朝イチで迎えに行くので準備してろよ!
最高の週末になるぞ、ワッハハハハハ!」。
別にアウトドア派じゃなかった僕はかなり渋ってたのですが、
そんな事を聞き入れてくれるようなハートフルな連中では無く、
「寝袋はこっちで用意する、夜は寒くなると思うので、何か上着も持って来いよ!」と付け足すと、
電話は一歩的に切られました
翌日、朝イチで迎えに来ると言ってたのに、寝坊したのか、
二人の悪魔は昼前に現れました。
しかし、この遅れが、今後我々の起こりうる状況を、
さらに不利にする形になろうとは、まだ知る由も有りませんでした。
JOEL所有の、15年落ちの黄色いステーションワゴンに、
僕は逮捕され、現場検証に連行される、殺人犯人のように乗せられ、
数分後、無情にも旅が始まりました。
砂漠と言っても高山の砂漠で、砂ばかりの所では無く、沢山の岩場、
サボテン、ジヨシュアの木などがある所なので、
行きは、ひたすら幾つもの山を越えての移動でした。
15年落ちの車には、その生命を終える可能性を十二分に含むルートです。
JOELはアクセルを終止ベタ踏みしてましたが、他の車の邪魔にならないように、
一番左側の車線を時速25マイルで走行するのが精一杯で、
山火事のような白煙をエキゾーストからひたすら吹き上げながらの、約6時間の移動でした。
フリーウェイから降りて、少し迷いましたが、なんとかキャンプ場に到着したのが午後7時前。
来てる人は皆、巨大なキャンピングカーで来ており、乗用車で訪れた勇者は我々のみ。
そしてここで早速スタートが遅れたツケを払う事になりました。
遅く着いた為、キャンプ場が既に一杯なのです!
時間はすでに午後7時で、辺りは真っ暗、そして寒い!
キャンプ場を離れ、何処か落ち着ける所を、
僕らは「ねぐらを探すホームレス」のようにサーチしましたが、無い、、。
辺りは街灯一つ無く、真っ暗で、
エスキモーですら凍死しそうな程寒くなってきた。
仕方なく路肩に車を停めると、DAVEが言いました「しょうがない、今日はここで寝よう」。
「にゃに?イキナリ野宿か!そんでこれがお前達の言う最高の週末のプロローグなのか!?」
「まあ今日はたまたま運が悪かっただけかも知れない、、」僕は気持ちをギヤを入れ替え、
車から降りて、トランクから荷物を出すDAVEとJOELを手伝い始めました。
しかし、、、、なんか妙に荷物が少ない。恐る恐る「テントは何処?」と聞くと、
DAVE はさも当たり前のように「無いよ。これ寝袋ね」。
「ワシを殺す気かい!!」この時、奴らを一瞬でも信じた自分の愚かさを呪いました。
「魔太郎が来る」で言うならば、名台詞
「コノ ウラミ ハラサデ オクベキカ〜〜〜」が、
間違い無く出る所です!
飲めないジャックダニエルをガブのみし、体を暖め、道路から10メートル位入った所に、
3人で寝袋を敷き、横になりました。
砂の上で川の字。何もかもが始めての経験でした。
しかし、寒くて寒くて眠れない!
吐く息も真っ白でした。
DAVEに「寒くて寝れないんだけど、、。特に足の先が冷たくて、痛いんだけど、、」と、
言った僕に対しDAVEは「えっ?靴脱いだの?」。
借り物の寝袋に入るにあたり、当然!靴は脱ぐ物だと思ってた自分とは裏腹に、
奴らは貴重な体温を1度でも逃がさないように、靴を装着したまま寝袋の中にしけこんでたのです。
しかも良く見ると奴らの寝袋は「羽毛100%」で、
僕のは
「おばあちゃんが夜なべして
編み上げました」仕様!
夜中、何かの足音で僕は目を覚ましました。
寝袋から顔を出し、辺りを見回すと、居ました、 コヨーテが。
その時はそれがコヨーテなのか狼なのか判らず、
DAVEに「起きてくれ、何か居るぞ」と囁くと、
DAVEは「起こされて迷惑そう+眠そうな÷2」の顔で、
寝袋からライフルを出し「ドガーーーーン」と一発、
空に向かって発砲し、
それに驚いたコヨーテは逃げて行きました。
「なんでお前は
ライフル小脇に抱えて寝とんじゃい!
そんな危険なアニマルプラネットに来てんの、
ワシらは?」。
その後、再び寒さで眠れなかった僕は,JOELを起こし、
「寒くて寝れない」と言うと、彼は寝袋の中で何やらモゾモゾすると、
車のキーを投げ出したので。それを取り、僕は寝袋に入ったまま、
10数回、エアーホッピング状態でジャンプし、
路肩の車へ移動し、中に入り、朝まで少しだけ寝る事が出来ました。
翌朝起きた我々「三銃士」はキャンプ場確保という重大なミッションを成功させる為、
砂だらけの寝袋を早々に片付け、昨日のキャンプ場へと移動しました。
ラッキーにも、今朝帰ったグループが何組か居ようで、数カ所が空いてました。
僕らは気に入った所に車を停め、荷物を再び降ろし、やっと落ち着く事が出来ました。
昨日から何も食べて無いので、お腹も減ってきました
「何か食べるものある?」という僕の問いかけに
「これから皆で野ウサギを狩りに行くぞ」とDAVEに渡されたのは一丁のライフル。
ここでやっと判りました。「こいつらは金曜日にテレビでサバイバルの特集でも観て、
自分達もやりたくなり、今回のこの旅を突発的に思い付いたんだ」と。
僕達三人はライフルを片手にグランドキャニオンのような荒野を歩き始めました。
ウサギはそこらじゅうに居るのですが、ジグザグに逃げるウサギを、
殆どライフルを撃った事無い、ティーンエイジャーに仕留める事は不可能です。
4時間後には空き瓶、空き缶を並べて撃ってました。
暗くなる前にキャンプ場に戻った僕達は、JOELの持ってきたパンに
(これが家に有った余り物を持ってきたので、7〜8枚位しか残って無かった)
ハムを全員一切れずつ挟み、マヨネーズも無しで食べました。
再び夜もふけてきて、寒い夜がやってきました。
今晩はキャンプ場なので、各スペースにマキを焼べる暖炉のような物が有るのですが、
マキなどを用意していなかった僕達は、砂漠の中で小さな木を集めました。
しかし、中々火はつかない。DAVEが少しだけ火がついた時、
ジャックダニエルを口に含み、吹き掛けると、巨大な火だるまが発生し
取りあえず火の確保は出来ました。人類創世実写版です。
2日ぶりに暖かさを感じながら寝ました。
しかし朝4時頃、拾った小さなマキは全て燃え尽き、
寒さで目を覚まし、絶え切れなくなった僕は、
砂漠の中へ何かに導かれるように入り、1本の枯れかかった木を見つけると、
ピーターアーツ譲りの回し蹴りで倒し、それを引きづりキャンプ場へ戻りました。
火事場の底力です
朝9時頃起きた僕達3人は、荷物を片付け、家路へと向かいました。
数時間程運転すると、フリーウェイ沿いにレストランなどが見えて来ました。
それと同時に僕らの腹の虫は「3重奏コーラス」を披露。
全員のお金を合わせ、幾ら有るのか計算しました。
この時確か$20ちょっと有ったと記憶しています。
フリーウェイからDENNYSが見えた時、僕らはフリーウェイから降り、DENNYSに突入しました。
久しぶりに鼻腔の中に充満する食べ物の臭い、この時の僕達の嗅覚は警察犬並みだったはずです。
迷惑そうに見てる店員をよそに、砂だらけの体で店内に入った僕達は、
一番安いスパゲッティーを選び、料理を待ちました。
水が出てきた時はその場で立て続けに3杯もガブのみしたため、
店員がしばらく僕達のテーブルから離れる事が出来なかった程です。
スパゲッティーの前にクラッカーが運ばれて来た時の僕らの顔は、
「どんな役者でも再現出来ないと思います!」
スパゲッティーを平らげ、チップも置き、席から立ち上がった時、
クラッカーが4ー5枚残ってるのに気がついた僕らは、
それら全てポケットに収納しました。
たった2日で身に付いたサバイバルの極意「食える時に食っとけ!持てる食料は持っとけ!」です。
店を出る時、何げに振り返った時の光景は今、目をつむっても鮮明に思い出されます。
入り口からそのテーブルまで続く、泥だらけの3つの足跡は!
投稿者 morty : 2004年12月07日 11:48